相続した実家の売却手順|期限と税金を先に確認

相続した実家は、相続人を確定してから名義を変え、査定を取って売る順番で進めます。名義が亡くなった方のままでは売れないため、相続登記が必要です。急ぐ手続きは相続放棄の3か月と、売った後の税の特例の期限です。
最初に動くのは、戸籍を集めて相続人と遺言書の有無を確かめることです。ここが決まると、残りの手続きの日程を逆算できます。期限の一覧は相続した実家を売るまでの時系列表にあります。このページでは、売却までにやることを順番に並べました。
売却までの10ステップ
次の表は、相続した実家を売るまでの流れです。おおむね上から順に進めますが、9の相続税の申告は期限が10か月と早いため、売却と並行して進めることがあります。
| 順 | やること | 目安の期限 | 詳しい記事 |
|---|---|---|---|
| 1 | 死亡届を出す | 知った日から7日以内 | 時系列表 |
| 2 | 遺言書の有無と、相続人を確かめる | 早いほどよい | 次の章 |
| 3 | 相続するか放棄するかを決める | 知ったときから3か月以内 | 空き家の相続放棄 |
| 4 | 遺産分割で、実家を誰が取るかを決める | 登記の期限(3年)に間に合わせる | 次の章 |
| 5 | 相続登記で名義を変える | 取得を知った日から3年以内 | 相続登記の義務化 |
| 6 | 2社以上に査定を頼む | 名義変更と並行して進められる | 査定は何社に頼むか |
| 7 | 売却方法と不動産会社を決め、媒介契約を結ぶ | 査定額がそろってから | 買取に出す前に |
| 8 | 売買契約を結び、代金を受け取って引き渡す | 税の特例の期限より前 | 売却の期限 |
| 9 | 相続税の申告が必要なら申告する | 死亡を知った日の翌日から10か月以内 | 後の章 |
| 10 | 売却した利益に税金がかかるか確かめ、確定申告をする | 特例を使うときは確定申告で申請 | 税額の計算例 |
5と6は並行できます。ただし売買契約の前に、5の登記を終えておく必要があります。
売る前に家族で決めておくこと
相続人が複数いるときは、実家を誰が取得するかを遺産分割で決めます。相続人の間で話し合いがつかない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を使えます。共同相続人の1人が、ほかの相続人全員を相手方として申し立てる手続きです。
売ると決めた場合は、次の3点を先に家族で確かめます。
- 売った代金を誰がどう分けるか
- 売却の手続きを誰が代表して進めるか
- 家財道具や仏壇などの片付けを、いつ誰がするか
親が施設に入っていて本人が判断できない場合は、手続きの進め方が変わります。共有名義の実家は一人では売れない場合があります。共有名義の実家は一人で売れるかと施設に入った親の家は売れるかで確認できます。
誰に何を相談するかは、相続した不動産は誰に相談する?で、不動産会社・士業・窓口の使い分けとして整理しています。
売る前に相続登記を済ませる
法務省のQ&Aには、相続した不動産を売却するときは相続登記をする必要があると書かれています。買主に所有権を移す前に、名義を亡くなった方から相続人に変えておかなければなりません。
相続登記は2024年4月1日から義務になりました。期限は、相続で取得したと知った日から3年以内です。遺産分割で取得したときは、分割の日から3年以内です。売却を考えているなら、期限を待たずに進めます。戸籍の収集に時間がかかるためです。
登記の手続きの詳細は相続登記の義務化|売却前に名義変更が必要な理由にまとめました。
査定を取って売却方法を決める
査定は2社以上に頼み、金額と条件を並べます。売却方法は大きく仲介と買取に分かれます。仲介は買主を探す方法で、買取は不動産会社が直接買う方法です。
仲介で売ると、不動産会社に媒介報酬(仲介手数料)を払います。上限は国土交通省の告示で決まっています。税込の料率は、売買代金のうち200万円以下の部分が5.5%です。200万円超400万円以下は4.4%で、400万円超は3.3%です。400万円を超えるときは「代金×3.3%+6.6万円」で同じ額になります。
計算例を置きます。仮定は、売却価格が3,000万円で、仲介で売る場合です。
| 売却価格 | 計算 | 仲介手数料の上限(税込) |
|---|---|---|
| 3,000万円 | 3,000万円×3.3%+6.6万円 | 105.6万円 |
800万円以下の「低廉な空家等」は特例があり、2024年7月1日以降、33万円(税込)までです。この特例を使うには、媒介契約を結ぶときに、上限の範囲で報酬額を合意しておきます。
買取と仲介で手取りがどれだけ違うかは、空き家を買取に出す前にの計算例で確かめられます。
売ったあとの税金と、相続税の申告
実家を売って利益が出ると、譲渡所得に税金がかかります。利益は「売却額-取得費-売るためにかかった費用」で求めます。相続した家は、亡くなった方が買ったときの金額が取得費の基になります。
特例は2つあり、同じ家で併用はできません。相続税を払った人は取得費加算、空き家になった古い家は3,000万円の特別控除を検討します。どちらも売る期限があります。計算例は相続した不動産を売ると税金はいくらに、期限の数え方は相続した土地の売却は3年以内が有利かにあります。
相続税の申告が必要かどうかは、遺産の総額と基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を比べて見ます。申告と納税の期限は、死亡を知った日の翌日から10か月以内です。取得費加算は、払った相続税の額を使います。
売れないときに考えること
査定を取っても買主が見つからないときは、売れない理由を整理してから方法を変えます。原因別の対処は空き家が売れない理由で確認できます。
税の特例の期限が近づいているときは、期限に合わせて値下げをする前に、特例で下がる税額と値下げ額を比べます。値下げ額が特例の効果より大きければ、売却額が減った分だけ手元に残る金額が減ります。
参考にした資料
- 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」(売却と相続登記、期限)
- 法務省 民事局「相続登記の申請義務化」(2024年4月1日施行)
- 裁判所「遺産分割調停」
- 国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ」(媒介報酬の上限、低廉な空家等の特例。2024年7月1日以降)
- 国税庁 タックスアンサー No.4152「相続税の基礎控除」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサー No.4205「相続税の申告と納税」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサー No.3267「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(令和8年4月1日現在法令等)
最終確認日:2026年10月9日。制度や公表内容は変わる場合があります。期限や税額の判断は、法務局・税務署・家庭裁判所などの公的窓口と、司法書士・税理士などの専門家で確認してください。