空き家が売れない理由|原因別の対処法

公開 2026-10-09約8分比較表つきチェックリストつき

古い空き家の前で腕組みして考え、吹き出しに家・道路・ひび割れを浮かべるヤモリ
目次を開く(7項目)
  1. 原因別チェック表
  2. 価格が高すぎる場合の対処
  3. 土地の条件に問題がある場合の対処
  4. 名義と境界に問題がある場合の対処
  5. 建物の状態や残置物が原因の場合の対処
  6. 売却以外の出口を比べる
  7. 売れないまま放置するとどうなるか

空き家が売れない原因は、4つのどれかに分かれることが多いです。価格、土地の条件、名義と境界、建物の状態です。値下げを繰り返す前に、原因を1つずつ切り分けてください。

原因によって、取るべき手は違います。価格が原因なら査定の見直し、接道に問題があれば自治体への相談、名義が故人のままなら相続登記です。この記事では、原因別のチェック表で、自分の家がどこに当てはまるかを確認できます。

原因別チェック表

次の表で、当てはまる行を探してください。

症状 考えられる原因 確認先 対処
内覧が入らない、問い合わせが少ない 価格が相場より高い 他社の査定、取引価格 査定の根拠を聞き、買取の提示額と並べる
内覧はあるが、契約に進まない 建物の傷み、残置物、境界の不明 不動産会社の内覧後の感想 状態を整える、買取に切り替える、更地にする
買主から建築できないと言われる 接道が足りない、市街化調整区域 自治体の建築指導課、開発許可の窓口 許可の可否を確認する、条件を買主に説明する
契約の直前で話が止まる 名義が故人のまま、共有者の同意がない 登記簿、相続人 相続登記、共有者全員の同意を得る
売り出して長期間たっても動きがない 地域の需要が小さい 地域の取引価格 空き家バンク、買取、売却以外の出口を検討する

価格が高すぎる場合の対処

まず疑うのは価格です。売り出し価格を決めるのは売主と不動産会社です。買主は、売り出し価格より低い金額を提示するのが通例とされています。

売り出して反応がないときは、査定の根拠を見直します。国土交通省の通達では、不動産会社は価格について意見を述べるとき、その根拠を示すことが求められています。同じ条件の取引事例が根拠に挙がっているかを聞いてください。近くの成約価格は、自分で相場を調べる手順で確認できます。

仲介で売れないときは、買取の提示額を取り、仲介の想定額と並べて比べます。比べ方は買取と仲介の比較に表でまとめています。

売買代金が800万円以下の空き家は、不動産会社が受け取れる媒介報酬の上限が特例で33万円まで引き上げられています(2024年7月1日から)。この特例は、調査などにかかる費用を考慮したものです。低価格の物件を扱ってもらえるか迷うときは、媒介契約の前に手数料の見積もりを書面でもらってください。

土地の条件に問題がある場合の対処

接道が足りない

建築基準法では、建物の敷地は原則として幅員4m以上の道路に2m以上接していなければなりません。この条件を満たさない敷地は、建て替えが原則としてできません。国土交通省の資料でも、接道が2m未満の敷地は「原則建築不可能」とされています。

対処は2つあります。1つ目は、例外として建築を認める制度の確認です。建築審査会の同意を得て特定行政庁が許可する仕組みがあり、令和5年度は6,579件の許可がありました。可否は自治体ごとに判断されるため、建築指導課に相談します。2つ目は、道路に接する隣地の一部を買い増して、接道の幅を満たす方法です。

前の道が幅員4m未満でも、特定行政庁が指定した道は道路とみなされます。この場合は道路の中心線から2mまで後退(セットバック)して建てる必要があり、後退した部分には建築できません。

市街化調整区域にある

市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域です。家を建てる行為は開発許可の対象になり、許可できる施設の種類が限定されます。買主が建て替えや新築を考えるときは、この許可が壁になります。

自分の土地が市街化調整区域にあるかは、市区町村か都道府県の都市計画の窓口で分かります。許可が必要な場合は、買主が建てられる用途の条件を窓口で聞いておくと、買主への説明が具体的になります。

名義と境界に問題がある場合の対処

名義が故人のままになっている

相続した空き家は、名義変更をしないと売れません。相続登記は、2024年4月1日から義務になりました。相続で取得したと知った日から3年以内に申請します。2024年4月1日より前に相続した場合の期限は、2027年3月31日です。

住所や氏名が変わっている場合の変更登記も、2026年4月1日から義務になりました。登記簿の住所が今の住所と違うと、売却の手続きが止まることがあります。

共有者の同意がそろわない

相続人が複数いるときは、売却の方針を全員で合わせる必要があります。1人でも反対すると、契約が進みません。進め方は共有名義の実家は一人で売れるかで確認してください。

境界が分からない

隣地との境界が分からないと、買主から測量を求められることがあります。隣地の所有者と話がつかないときは、法務局の筆界特定制度があります。登記官が外部専門家の意見を踏まえ、現地で筆界の位置を特定する制度です。申請手数料は土地の価格で決まり、たとえば申請人の土地と隣の土地の価格の合計が4,000万円なら、手数料は8,000円です。測量が必要になれば、別に測量費用を負担することがあります。

筆界は所有権の範囲と一致することが多い一方、一致しない場合もあります。所有権の範囲を決める制度ではない点に注意してください。

建物の状態や残置物が原因の場合の対処

建物が傷んでいる、家財が残っているという理由で買主が付かないときは、3つの出口があります。

  • 買取に切り替える。買主が事業者なので、個人の買主を探す手間がなくなります
  • インスペクション(専門家による建物の現況調査)を受ける。国土交通省の空家等対策特設サイトでも、売るときに活用できる制度として紹介されています
  • 解体して更地で売る。解体の判断は空き家は解体してから売るべきかで整理しています

傷みが大きいほど、買主は修繕費を見込んで価格を下げます。売主が先に直すか、現状のまま安く売るかは、費用と売却額を並べて決めます。

売却以外の出口を比べる

どうしても売れないときは、売る以外の手があります。

出口 内容 向く場面
空き家バンク 自治体が運営する登録制度。物件を登録すると、買いたい人が検索できる 地方で、移住や空き家活用の希望者がいそうな物件
相続土地国庫帰属制度 相続で取得した土地を、国に引き取ってもらう 建物を解体済みで、境界が明らかな土地

空き家バンクの流れと向かない物件は空き家バンクは使うべきかにまとめています。

相続土地国庫帰属制度は、建物がある土地は申請できません。建物の登記がなくても、実際に建物があれば対象外です。ほかに、抵当権が残る土地、境界が明らかでない土地なども申請できません。審査手数料は1筆につき14,000円で、承認されたあとに負担金(基本は20万円)を払います。市街化区域内の宅地などは、面積によって負担金が20万円を超えることがあります。却下や不承認でも手数料は返ってきません。詳しい条件は相続土地国庫帰属制度とはで確認できます。

売れないまま放置するとどうなるか

売れないからと放置すると、費用が積み上がります。市区町村から、管理不全空家や特定空家の勧告を受けると、その敷地は固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。住宅用地特例では、課税標準が200㎡以下の部分で6分の1、200㎡を超える部分で3分の1に下がります。勧告でこの特例が外れると、税額が上がります。

勧告の前には、助言・指導の段階があります。連絡が来た時点で、売却や解体の計画を市区町村に伝えられるよう、準備を進めてください。放置の影響は空き家を放置するとどうなるかで詳しく読めます。

参考にした資料

最終確認日:2026年10月9日。制度や公表内容は変わる場合があります。法律と税金の最終判断は、自治体や法務局の窓口と専門家に確認してください。