マイホーム借上げ制度とは|費用・条件・向かない家を公式情報で整理

公開 2026-10-20約5分比較表つき

和室の座卓の前で、家・鍵・重機・庭木の4つの案内板を指さすヤモリのキャラクター
目次を開く(6項目)
  1. 制度の仕組み
  2. 利用できる人と家の条件
  3. 費用で確かめる3点
  4. 申込から賃料が入るまでの流れ
  5. 契約の種類と、途中でやめるとき
  6. 実家を貸すか、売るか、壊すか

マイホーム借上げ制度は、一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)が家を借り上げ、第三者に転貸する仕組みです。実家じまいの方法として、売る・壊すと並べて検討できます。

向くのは、50歳以上のオーナーが、売らずに将来も家を残したい場合です。向かないのは、手放して固定資産税や管理の負担をなくしたい場合です。貸している間も、家は自分の名義のまま残ります。

制度の仕組み

JTIが貸主として入居者に転貸し、入居者の募集や、家賃の未払い・破損などの対応を行います。退去時は、原状回復をして返すとされています。

借上げ期間は、原則として所有者と同居者が亡くなるまでの「終身」です。期間を指定することもでき、その場合は原則5年以上です。転貸の契約は原則3年の定期借家で、やめたいときは最長3年待てば家が戻る設計です。

項目 内容
運営 一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)
借上げ期間 原則は終身。期間指定は原則5年以上
転貸の契約 原則3年の定期借家
空室時の賃料 最初の入居者が決まったあとは、空室でも規定の賃料が支払われる
債務保証 JTIの支払う賃料に、国の基金による債務保証があるとされる

この債務保証は、JTIの賃料支払いに対するものです。賃料の額そのものが保証されるわけではありません。

利用できる人と家の条件

JTIの案内では、日本在住の50歳以上の方、または海外在住の50歳以上の日本人が対象です。同居人は1名まで認められます。50歳未満でも、相続で取得した空き家、転勤などの事情、移住や起業の支援金を受ける予定がある場合などは、条件を満たすと使えます。実家を相続した人は、この条件に当てはまる場合があります。

家の条件は、次のとおりです。

項目 内容
住宅 日本国内にある、居住用の住宅。当初から賃貸事業のために建てた物件は対象外。マンションなどの扱いは、JTIの注記が分かれて読めるため、事前にJTIへ確認する
共有名義 共有者全員の承諾が必要
耐震 建築確認が昭和56年5月31日以前の建物は、耐震診断が必要。必要なら補強工事をする
建物診断 築25年を超える建物は、建物診断が必要。築25年以内は、簡易の外観調査(無料)

共有名義の実家は、全員の同意がそろわないと申し込めません。相続した実家の名義が親のままなら、先に相続登記が要ります。手順は相続登記の義務化と手続きで確かめられます。

費用で確かめる3点

申込手数料は18,700円(税込)です。建物診断の費用は利用者の負担で、診断で重大な劣化が見つかれば、補修も必要になります。

賃料の水準と、JTIが賃料から差し引く手数料の率は、公式ページに載っていません。賃料は、JTI協賛会社などが地域の賃貸市場と建物の状況から査定し、JTIが承認して決まります。査定時の賃料が、実際の賃料と異なる場合もあるとされています。

JTIのページには、利用者の事例が載っています。これは個別の事例で、目安として保証されるものではありません。申し込む前に、自分の家の査定額と、差し引かれる手数料を、JTI(03-5211-0757、平日9時〜17時)に確かめてください。

貸したあとの固定資産税、修繕費、損害保険料は、オーナーの負担です。家賃は不動産所得になり、これらは必要経費に入ります。税の扱いは、国税庁のタックスアンサーNo.1370で確かめられます。

申込から賃料が入るまでの流れ

賃料は、申込と同時には入りません。最初の入居者が入居した時点から支払われます。

  1. 情報登録(カウンセリングカードを送る)
  2. ハウジングライフプランナーによるカウンセリング
  3. 賃料の査定
  4. 制度利用の申込書を出し、申込手数料を払う
  5. 建物診断
  6. 補強・改修工事(必要な場合)
  7. 入居者の募集
  8. 承認通知書を受け取り、契約が成立
  9. 賃料の支払いが始まる

入居者が決まるまで、診断と工事の費用は先に出ていきます。急ぎで現金が要る場合は、この制度は合いません。

契約の種類と、途中でやめるとき

借上げの契約には、タイプがあります。標準は3年以上の定期借家です。「おまかせ借上げ」は10年以上で、中途解約はできません。「最低家賃保証型」は、最長35年間の最低保証賃料を約束するタイプです。

途中でやめられるのは、家に戻る必要が生じた場合や、売却する場合、子どもを住まわせる場合などです。解約通知書を出します。入居者がいなければ、通知の受領時に解約となります。入居者がいる場合は、転貸借契約が終わる時点で解約となり、契約の満了まで6か月に満たないときは、6か月が過ぎるまで待ちます。緊急時の解約は、JTIが交渉に努めるにとどまり、結果は保証されていません。

契約のタイプで条件が変わるため、申し込む前に、どのタイプかを書面で確かめてください。JTIは2026年6月1日に約款を改定しており、借上げ期間、解約の手続き、賃料の決定などの条項が変わっています。この記事は公式ページの記載をもとにしているため、契約前に、最新の約款をJTIで確認してください。

実家を貸すか、売るか、壊すか

制度を使うか迷う場合は、次の表で分かれ目を見ます。

状況 向く方法
50歳以上で、将来は家族が住む、または残したい 貸す(この制度が候補)
築年が古く、診断や補強の費用がかさみそう 売る、または壊す
現金が早く要る 売る(買取なら早い)
共有者の同意がそろわない 先に共有名義の整理
固定資産税や管理の負担を、早くなくしたい 売る

貸すことは、手放すことではありません。入居者がいても、家の名義と税の負担は残ります。4つの方法の費用と手間は、実家の処分方法の比較に並べています。売る場合の手取りは、空き家の売却方法4つで比べられます。

売ったあとも住み続けたい場合は、別の選択肢があります。リースバックの仕組みと注意点で確かめてください。

参考にした資料

最終確認日:2026年10月20日。制度や公表内容は変わる場合があります。税や契約の最終判断は、JTIや税務署、専門家に確認してください。