マイホーム借上げ制度とは|費用・条件・向かない家を公式情報で整理

マイホーム借上げ制度は、一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)が家を借り上げ、第三者に転貸する仕組みです。実家じまいの方法として、売る・壊すと並べて検討できます。
向くのは、50歳以上のオーナーが、売らずに将来も家を残したい場合です。向かないのは、手放して固定資産税や管理の負担をなくしたい場合です。貸している間も、家は自分の名義のまま残ります。
制度の仕組み
JTIが貸主として入居者に転貸し、入居者の募集や、家賃の未払い・破損などの対応を行います。退去時は、原状回復をして返すとされています。
借上げ期間は、原則として所有者と同居者が亡くなるまでの「終身」です。期間を指定することもでき、その場合は原則5年以上です。転貸の契約は原則3年の定期借家で、やめたいときは最長3年待てば家が戻る設計です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営 | 一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI) |
| 借上げ期間 | 原則は終身。期間指定は原則5年以上 |
| 転貸の契約 | 原則3年の定期借家 |
| 空室時の賃料 | 最初の入居者が決まったあとは、空室でも規定の賃料が支払われる |
| 債務保証 | JTIの支払う賃料に、国の基金による債務保証があるとされる |
この債務保証は、JTIの賃料支払いに対するものです。賃料の額そのものが保証されるわけではありません。
利用できる人と家の条件
JTIの案内では、日本在住の50歳以上の方、または海外在住の50歳以上の日本人が対象です。同居人は1名まで認められます。50歳未満でも、相続で取得した空き家、転勤などの事情、移住や起業の支援金を受ける予定がある場合などは、条件を満たすと使えます。実家を相続した人は、この条件に当てはまる場合があります。
家の条件は、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 住宅 | 日本国内にある、居住用の住宅。当初から賃貸事業のために建てた物件は対象外。マンションなどの扱いは、JTIの注記が分かれて読めるため、事前にJTIへ確認する |
| 共有名義 | 共有者全員の承諾が必要 |
| 耐震 | 建築確認が昭和56年5月31日以前の建物は、耐震診断が必要。必要なら補強工事をする |
| 建物診断 | 築25年を超える建物は、建物診断が必要。築25年以内は、簡易の外観調査(無料) |
共有名義の実家は、全員の同意がそろわないと申し込めません。相続した実家の名義が親のままなら、先に相続登記が要ります。手順は相続登記の義務化と手続きで確かめられます。
費用で確かめる3点
申込手数料は18,700円(税込)です。建物診断の費用は利用者の負担で、診断で重大な劣化が見つかれば、補修も必要になります。
賃料の水準と、JTIが賃料から差し引く手数料の率は、公式ページに載っていません。賃料は、JTI協賛会社などが地域の賃貸市場と建物の状況から査定し、JTIが承認して決まります。査定時の賃料が、実際の賃料と異なる場合もあるとされています。
JTIのページには、利用者の事例が載っています。これは個別の事例で、目安として保証されるものではありません。申し込む前に、自分の家の査定額と、差し引かれる手数料を、JTI(03-5211-0757、平日9時〜17時)に確かめてください。
貸したあとの固定資産税、修繕費、損害保険料は、オーナーの負担です。家賃は不動産所得になり、これらは必要経費に入ります。税の扱いは、国税庁のタックスアンサーNo.1370で確かめられます。
申込から賃料が入るまでの流れ
賃料は、申込と同時には入りません。最初の入居者が入居した時点から支払われます。
- 情報登録(カウンセリングカードを送る)
- ハウジングライフプランナーによるカウンセリング
- 賃料の査定
- 制度利用の申込書を出し、申込手数料を払う
- 建物診断
- 補強・改修工事(必要な場合)
- 入居者の募集
- 承認通知書を受け取り、契約が成立
- 賃料の支払いが始まる
入居者が決まるまで、診断と工事の費用は先に出ていきます。急ぎで現金が要る場合は、この制度は合いません。
契約の種類と、途中でやめるとき
借上げの契約には、タイプがあります。標準は3年以上の定期借家です。「おまかせ借上げ」は10年以上で、中途解約はできません。「最低家賃保証型」は、最長35年間の最低保証賃料を約束するタイプです。
途中でやめられるのは、家に戻る必要が生じた場合や、売却する場合、子どもを住まわせる場合などです。解約通知書を出します。入居者がいなければ、通知の受領時に解約となります。入居者がいる場合は、転貸借契約が終わる時点で解約となり、契約の満了まで6か月に満たないときは、6か月が過ぎるまで待ちます。緊急時の解約は、JTIが交渉に努めるにとどまり、結果は保証されていません。
契約のタイプで条件が変わるため、申し込む前に、どのタイプかを書面で確かめてください。JTIは2026年6月1日に約款を改定しており、借上げ期間、解約の手続き、賃料の決定などの条項が変わっています。この記事は公式ページの記載をもとにしているため、契約前に、最新の約款をJTIで確認してください。
実家を貸すか、売るか、壊すか
制度を使うか迷う場合は、次の表で分かれ目を見ます。
| 状況 | 向く方法 |
|---|---|
| 50歳以上で、将来は家族が住む、または残したい | 貸す(この制度が候補) |
| 築年が古く、診断や補強の費用がかさみそう | 売る、または壊す |
| 現金が早く要る | 売る(買取なら早い) |
| 共有者の同意がそろわない | 先に共有名義の整理 |
| 固定資産税や管理の負担を、早くなくしたい | 売る |
貸すことは、手放すことではありません。入居者がいても、家の名義と税の負担は残ります。4つの方法の費用と手間は、実家の処分方法の比較に並べています。売る場合の手取りは、空き家の売却方法4つで比べられます。
売ったあとも住み続けたい場合は、別の選択肢があります。リースバックの仕組みと注意点で確かめてください。
参考にした資料
- 一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)「マイホーム借上げ制度」(最終更新2026年4月24日)
- 同「ご利用ガイド」
- 同「マイホーム借上げ制度 約款改定のお知らせ」(施行は2026年6月1日)
- 国税庁 タックスアンサー No.1370「不動産所得の計算」
最終確認日:2026年10月20日。制度や公表内容は変わる場合があります。税や契約の最終判断は、JTIや税務署、専門家に確認してください。