相続した不動産は誰に相談する?不動産会社・士業・窓口の使い分け

相続した不動産の相談先は、困りごとで決まります。名義変更の登記は司法書士か弁護士、相続税の申告は税理士、売却の価格や買主探しは不動産会社です。登記の申請と税務の代理は、法律で資格のある人に限られています。不動産会社に頼めるのは売却の部分です。
売却で迷っているなら、先に不動産会社で査定を取り、登記と税の相談は並行して進めます。費用が心配なら、収入と資産の基準を満たす人は法テラスの無料法律相談が使えます。
困りごと別の相談先の表
次の表は、困りごとごとに相談先を並べたものです。
| 困りごと | 相談先 | できること・条件 |
|---|---|---|
| 相続登記を代わりに申請してほしい | 司法書士・弁護士 | 登記申請の代理と申請書の作成。業として行えるのは司法書士と弁護士に限られる |
| 登記を自分で申請したい | 法務局の手続案内 | 申請書の作成に必要な情報の提供。1回20分以内の完全予約制 |
| 土地や建物の測量・表示の登記が必要 | 土地家屋調査士 | 調査・測量を伴う表示に関する登記の代理 |
| 相続税の申告をしたい | 税理士 | 税務代理、税務書類の作成、税務相談 |
| 売った利益の税金を確定申告したい | 税理士 | 同上 |
| 税のしくみを国に聞きたい | 国税庁の電話相談センター、税務署 | 譲渡所得や相続税の相談ができる。税務署の面接は電話で事前予約 |
| 実家の売却額を知りたい、売りたい | 不動産会社 | 査定、買取や仲介、媒介契約 |
| 相続人同士で話がまとまらない | 家庭裁判所の遺産分割調停、弁護士 | 共同相続人の1人が、ほかの相続人全員を相手方として調停を申し立てる |
| 相続を放棄したい、期限を延ばしたい | 家庭裁判所 | 相続放棄の申述、承認・放棄の期間の伸長の申立て |
| 弁護士費用が心配 | 法テラス | 収入・資産が基準以下なら無料の法律相談。1つの問題につき3回まで、1回30分 |
| 空き家の管理・活用を地元で相談したい | 市区町村の空き家相談窓口 | 窓口の有無と内容は市区町村で異なる。実家の所在地の市区町村に聞く |
根拠は、相続登記の代理を司法書士と弁護士に限る法務省の案内と、税務代理を税理士などに限る国税庁の案内です。
売りたいときの相談の順番
実家を売りたい人は、次の順番で相談先を回すと無駄が出にくくなります。
| 順 | 相談先 | 決めること |
|---|---|---|
| 1 | 不動産会社(2社以上) | 査定額、売却方法、売れる時期 |
| 2 | 司法書士 | 売買契約の日までに名義変更が間に合うか |
| 3 | 税理士 | 相続税の申告が要るか、売ったあとの税額と特例 |
| 4 | 弁護士・家庭裁判所 | 相続人の間で合意できないときの進め方 |
4は、相続人の意見が分かれているときだけです。話がまとまっていれば、1から3で足ります。手順の全体は相続した実家の売却手順にあります。
登記を頼むなら司法書士
相続登記の申請を代理できるのは、司法書士と弁護士です。2024年4月1日から義務になり、期限は取得を知った日から3年以内です。売却するときも相続登記が必要です。
自分で申請する場合は、法務局の手続案内を使えます。1回20分以内の完全予約制で、電話と窓口とウェブ会議から選べます。専門家に相談したいときは、法務省が案内している相続登記相談センターがあります。予約受付のフリーダイヤルは0120-13-7832で、受付は平日10時から16時です。
登記の手続きと費用は相続登記の義務化|売却前に名義変更が必要な理由で確認できます。
税金は税理士か国税の窓口
依頼を受けて行う税務の代理と書類の作成と相談は、税理士の業務です。税理士や税理士法人など、法律で認められた人が行います。相続税の申告も、売ったあとの譲渡所得の申告も、依頼するなら税理士です。
税のしくみを知りたいだけなら、国税庁の電話相談センター(0570-00-5901)が使えます。受付は平日8時30分から17時00分で、音声ガイダンスで譲渡所得や相続税の番号を選びます。税務署での面接相談は、電話で事前予約が必要です。
相続税の申告期限は、死亡を知った日の翌日から10か月以内です。売る前に、申告が必要かどうかを確かめます。
売却後の税額は相続した不動産を売ると税金はいくらの計算例で確かめられます。
売却は不動産会社に査定を頼む
実家の価格や売却方法は、不動産会社に査定を頼むと分かります。査定は2社以上に頼み、金額と条件を並べます。売買の媒介報酬には上限があり、国土交通省の告示で決まっています。
査定を頼む前に、相続登記が済んでいるか、相続人全員が売却に賛成しているかを確かめておきます。名義の確認が遅れると、売買契約の日程がずれます。複数社の頼み方は空き家の査定は何社に頼むかで比べられます。
相談前にそろえる書類
相談の時間を有効に使うため、次の書類を手元に集めておきます。
- 亡くなった方の戸籍(出生から死亡までのもの)
- 相続人全員の戸籍
- 固定資産税の課税明細書(土地と建物の価格が分かるもの)
- 遺言書があれば、その原本
- 預貯金、借金、ほかの不動産が分かる資料
戸籍の束は、法務局の法定相続情報証明制度で、一覧図の写しに代えられます。交付は無料で、戸籍の取得手数料は別にかかります。相続登記や預貯金の払戻し、相続税の申告で使えます。
参考にした資料
- 法務省「相続登記の申請義務化」関連ページ(手続案内、専門家への相談先。相続登記の代理ができる資格)
- 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
- 法務省 民事局「登記申請手続のご案内(相続登記①/遺産分割協議編)」(令和6年9月版)
- 法務省「法定相続情報証明制度」(令和6年4月1日改訂版)
- 国税庁「国税に関するご相談について」
- 国税庁 タックスアンサー No.9203「税理士制度について」
- 国税庁 タックスアンサー No.4205「相続税の申告と納税」(令和8年4月1日現在法令等)
- 法テラス「無料法律相談に関するよくあるご質問」
- 裁判所「遺産分割調停」「相続の放棄の申述」「相続の承認又は放棄の期間の伸長」
- 国土交通省「土地:所有者不明土地・空き地等の低未利用土地に関する相談窓口・リンク集」
- 国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ」
最終確認日:2026年10月9日。制度や公表内容は変わる場合があります。期限や税額の判断は、法務局・税務署・家庭裁判所などの公的窓口と、司法書士・税理士などの専門家で確認してください。