田舎の実家を処分したい|売れない場合の選択肢

公開 2026-10-09約7分比較表つき

田んぼと山に囲まれた農道で、遠くの実家を見つめるヤモリのキャラクター
目次を開く(6項目)
  1. 5つの方法を費用と条件で比べる
  2. 空き家バンクと、安い物件の仲介報酬
  3. 自治体への寄附は、基準が厳しい
  4. 解体して売る前に、税金の変化を知る
  5. 国に引き渡す国庫帰属制度と、相続放棄
  6. どの順番で検討するか

売れない田舎の実家にも、手放す道は5つあります。空き家バンクで買い手や借り手を探す方法、自治体に寄附する方法、解体して売る方法、相続土地国庫帰属制度で国に引き渡す方法、相続放棄です。ただし、どれも使える条件があります。お金の面でも、国庫帰属は審査手数料14,000円に負担金20万円からがかかります。

最初にすることは、実家に建物が残っているか、境界がはっきりしているか、農地が含まれていないかを確かめることです。この3点で、選べる方法が変わります。

5つの方法を費用と条件で比べる

方法 向いている実家 主な費用 最大の壁
空き家バンク 建物が使える。移住や二地域居住の需要がある地域 売れたときの仲介報酬。800万円以下の物件には特例の上限がある 買い手や借り手が現れるとは限らない
自治体への寄附 更地で、境界が確定している。自治体が使い道を見込める 建物があれば、先に取り壊す費用がかかる場合がある 受け入れの基準は自治体ごとに異なり、断られることもある
解体して売る 建物が古いが、土地に買い手がつく見込みがある 解体費。更地になると固定資産税の軽減が外れる 売れる保証はなく、解体費が先に出ていく
相続土地国庫帰属制度 相続で取得した土地で、建物がなく、要件に当たらない 審査手数料14,000円と負担金。負担金は基本で20万円 要件が厳しく、審査に標準で8か月かかる
相続放棄 相続人になったことを知ってから3か月以内で、ほかの財産もいらない 収入印紙800円と郵便切手 全財産を手放す。放棄の時に占有していると保存義務が残る

表の費用は、公式資料で確認できる範囲に限っています。解体費や仲介報酬の実額は、物件ごとに違います。

売る場合の業者の選び方は、実家を売る業者の選び方で買取と仲介を比べています。

空き家バンクと、安い物件の仲介報酬

空き家バンクは、自治体が空き家の情報を集め、利用したい人に紹介する仕組みです。国土交通省の資料では、令和元年度の調査で、約7割の自治体が運営しているとされています。複数の自治体の情報を横断して探せる全国版の空き家・空き地バンクも、国土交通省が用意しています。

登録の流れと向かない物件は、空き家バンクは使うべきかで扱っています。

安い物件の仲介は、令和6年7月1日から報酬のルールが変わりました。物件価格が800万円以下の宅地建物は、低廉な空家等として、媒介報酬の上限が30万円の1.1倍の33万円までとされます。不動産会社は、契約の前に、上限の範囲で報酬を依頼者に説明し、合意を得ることが求められています。

仲介にかかる手間を踏まえた見直しとされています。報酬は、事前に説明を受けてから依頼してください。

農地付きの空き家は、農地の取得時の下限面積の要件が、令和5年4月1日の農地法の改正でなくなりました。農地を含む場合は、売買や貸し借りに農業委員会の許可が要る場合があります。実家に田畑が付いているときは、市町村の農業委員会に先に聞いてください。

自治体への寄附は、基準が厳しい

自治体は、土地や建物の寄附を受け入れる基準を、それぞれ決めています。たとえば名古屋市は、市の事業に使える土地で、売却や換金がしやすいと見込まれるものを対象にしています。原則として更地が対象で、建物付きは相談になります。

受け入れられない例も挙がっています。隣地との境界が確定していない土地、抵当権などが付いている土地、維持費を市が負担する条件の寄附、管理が難しい土地や崖崩れのおそれがある土地です。

この表は名古屋市の例です。実家のある市町村の基準は、役所の財産管理を担当する窓口で確認してください。申込から回答まで、名古屋市では1か月が目安とされています。

解体して売る前に、税金の変化を知る

建物を取り壊して更地にすると、翌年度から、住宅用地の特例が外れます。東京都主税局の案内では、小規模住宅用地(住宅1戸あたり200平方メートルまで)は固定資産税が価格の6分の1、一般住宅用地は3分の1に軽減されています。更地になると、この軽減が外れて、土地の税額が上がることがあります。

建物の滅失登記は、取り壊しから1か月以内に申請する義務があります。

解体費は、構造、広さ、道路の広さ、残置物の量で変わります。見積書の見方は空き家は解体してから売るべきかで確認できます。

国に引き渡す国庫帰属制度と、相続放棄

相続土地国庫帰属制度

相続や相続人への遺贈で取得した土地を、国に引き渡す制度です。建物がある土地、境界に争いのある土地、土壌汚染のある土地などは却下されます。管理に過分な費用がかかる崖や、地中に除去が必要な物がある土地は、不承認になります。

審査手数料は土地1筆で14,000円で、却下されても戻りません。承認後に、基本で20万円の負担金を30日以内に払います。

要件のチェック表と手続きは相続土地国庫帰属制度とはにあります。

相続放棄は最後の手段

相続放棄は、実家だけでなく、すべての財産を放棄する手続きです。期限は、相続の開始を知ってから3か月以内です。

放棄の時に実家を占有していると、次の管理者に引き渡すまで、保存する義務が残ります。放棄の前に実家を売ったり壊したりすると、放棄できなくなるおそれがあります。詳しくは空き家の相続放棄で扱っています。

どの順番で検討するか

順番 確かめること 当てはまったら
1 建物が使えるか、買い手や借り手の見込みがあるか 空き家バンクと、複数社の査定を試す
2 土地だけなら売れそうか 解体して売る場合の税金の変化と費用を並べて比べる
3 更地で境界が確定しているか 自治体に寄附の相談をする
4 相続で取得した土地で、要件に当たらないか 国庫帰属の相談を法務局に予約する
5 ほかの財産もいらないか 相続放棄を、期限内に検討する

管理不全空家として自治体から勧告を受けると、住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税と都市計画税が約4倍になる場合があると、静岡市は案内しています。持ち続けても、費用はかかり続けます。

どの方法を選ぶ場合でも、最終判断は、弁護士・司法書士・税理士などの専門家と、役所や法務局の窓口で確認してください。

参考にした資料

最終確認日:2026年10月9日。制度や公表内容は変わる場合があります。