空き家バンクは使うべきか|登録の流れと向かない物件

公開 2026-10-09約7分比較表つきチェックリストつき

空き家バンクの物件掲示板を指さすヤモリのキャラクター
目次を開く(7項目)
  1. 空き家バンクとは何か
  2. 登録の流れを2つの市で比べる
  3. 登録の費用はかかるか
  4. 登録できない物件の判断表
  5. 空き家バンクを使うかどうかの判断表
  6. 登録しても売れなかったとき
  7. 窓口で聞くことのチェックリスト

空き家バンクは、買い手が移住や活用を考える人になりそうな物件で、売り急がない人に向いています。急いで現金化したい人には向きません。名義が故人のままの家や、道路に接していない家は、登録できないことがあります。

登録するだけでは売れません。実際の売買の仲介は、宅建業者が行います。最初の一歩は、空き家のある市区町村の窓口に、登録できる物件かを聞くことです。

空き家バンクとは何か

国土交通省の空家等対策特設サイトでは、空き家バンクを「自治体が運営する登録制度」と説明しています。所有者が売りたい、または貸したい物件を登録すると、購入や賃借を希望する人が条件に合う物件を検索して申し込めます。

国は、各自治体の情報を集めて全国から検索できる「全国版空き家・空き地バンク」も用意しています。運営しているのは、株式会社LIFULL(LIFULL HOME’S 空き家バンク)とアットホーム株式会社(アットホーム 空き家バンク)の2社です。本格運用は2018年4月2日に始まりました。

全国版に物件を載せるには、売りたい人や貸したい人の同意が必要です。同意がない物件や、自治体が載せないと判断した物件は載りません。利用者の側は、全国版への利用者登録は不要です。ただし、自治体によっては、移住の促進を目的に県外や市町村外の希望者に限っている場合があります。

登録の流れを2つの市で比べる

流れは自治体ごとに違います。特に違うのは、不動産会社と媒介契約を結ぶ順番です。石巻市と秋田市の公式ページを比べます。

石巻市 秋田市
1. 最初にやること 申請書、登録カード、納税証明書などを住宅課に出す 市に相談し、協力する宅建業者を紹介してもらう
2. 現地調査 登録事業者と市職員が現地を調べる 所有者が立ち会い、調査して登録カードを作る
3. 登録の可否 市が可否を通知する 市が書類と調査結果を審査する
4. 媒介契約 登録後に、現地を調べた登録事業者と結ぶ 現地調査のあと、登録の申込みの前に結ぶ
5. 公開 全国版の空き家バンクサイトに掲載する 市のホームページなどで公開する
登録期間 2年。再登録できる 2年。再申込みで再登録できる

石巻市の登録期間の数え方は、市の所有者向けの案内で確認してください。

登録の手順を順に並べると、次のようになります。

  1. 市区町村の窓口に相談して、物件が対象かを確認する
  2. 申請書と必要書類を出す
  3. 現地調査を受ける
  4. 宅建業者と媒介契約を結ぶ(時期は自治体で違う)
  5. 登録されて、物件情報が公開される
  6. 希望者からの問い合わせを受けて、売買の交渉を進める

自治体は、利用者や登録事業者、所有者の間の交渉や媒介契約には関与しません。苦情や紛争は、登録事業者と所有者で解決します。

登録の費用はかかるか

秋田市の所有者向けQ&Aでは、登録そのものに費用はかからないとされています。ただし、売買が成立したときに協力宅建業者の仲介を受けるなら、法律で定められた仲介手数料を払います。

仲介手数料の上限は、国土交通省の告示で決まっています。代金のうち200万円以下が5%、200万円超400万円以下が4%、400万円超が3%です。800万円以下の空き家には、33万円までの特例があります。計算は空き家の売却方法4つにあります。

登録費用の有無は自治体で違う可能性があるため、窓口で聞いてください。

登録できない物件の判断表

登録できる物件の条件も、自治体ごとに違います。2市の公式ページに書かれている例を並べます。

物件の状況 登録できるか(公式ページの例) 先にやること
未登記、または相続登記が済んでいない 石巻市は登録できない。秋田市は原則として登録できず、売買契約後で引渡し前に登記する条件で例外がある 相続登記を進める
固定資産税の滞納がある 石巻市は登録できない 滞納分を納める
道路に接していない土地(無接道地)にある 石巻市は、無接道地などの場合に登録できない 接道の状況を調べる
土地を借りている(借地) 秋田市は登録できない 地主の同意と、売却の可否を確認する
分譲マンションの1室 秋田市は登録できない 仲介で売る
事業者が賃貸や分譲の目的で建てた建物、宅建業者が所有する物件 石巻市は対象外。秋田市は宅建業者の所有物件を登録できない 仲介で売る
他の不動産会社と媒介契約を結んでいる 秋田市は必要書類を出せば登録できる 窓口に相談する
協力宅建業者が媒介契約を結べない 秋田市は登録できない 別の売り方を探す

秋田市では、市が協力業者に引き受けを募っても申し込む業者がいない場合があります。その物件は取扱いが困難と見なされ、登録できません。市は問題点をまとめて所有者に報告し、その後の対応は所有者が判断します。

道路に接していない家や、名義の問題がある家は、そもそも売れない原因になっていることがあります。原因別の対処は空き家が売れない理由で整理しています。

空き家バンクを使うかどうかの判断表

状況 空き家バンク 先に検討する方法
地方にあり、移住や田舎暮らしの希望者が来そうな地域 向く 空き家バンクと仲介を並行する
時間に余裕があり、登録期間の2年をかけられる 向く 空き家バンク
数か月以内に現金化したい 向かない 買取の提示額を取る
建物が大きく傷んでいる 登録できるかは自治体次第 買取、または解体して売る
名義が故人のままで、相続登記をしていない 登録の前に相続登記が必要 相続登記
立地が良く、仲介で買主が付きそう 仲介で足りる場合がある 仲介

空き家バンクの利用希望者には、自治体が条件を付けていることがあります。国土交通省の資料にある石巻市の要綱の例では、利用希望者の条件が決まっています。定住が目的で、地域の生活文化を理解し、市区町村民税を滞納していない人です。誰でも買えるわけではないため、買い手の層は絞られます。

登録しても売れなかったとき

登録期間が終わったら、再申込みで登録し直せます。石巻市も秋田市も、期間は2年です。石巻市では、成約しなくても、所有者はいつでも抹消届を出して取り下げられます。

2年待っても動きがなければ、売り方を切り替えます。買取の提示額を取る手があります。解体して更地にする手もあります。相続した土地なら、国に引き取ってもらう制度も調べられます。田舎の実家で売れない場合の選択肢は田舎の実家を処分したいに、費用を含めた処分方法の比較は空き家の処分にかかる費用にまとめています。

窓口で聞くことのチェックリスト

登録の前に、空き家のある市区町村の窓口で次の点を聞いてください。

  • 自分の物件が登録できる条件に当てはまるか
  • 不動産会社との媒介契約は、登録の前か後か
  • 他の不動産会社に仲介を頼んでいても、登録できるか
  • 登録期間と、更新の手続き
  • 利用希望者に条件はあるか(県外限定、定住目的など)
  • 登録に費用はかかるか

参考にした資料

最終確認日:2026年10月9日。制度や公表内容は変わる場合があります。条件や費用は自治体ごとに違うため、空き家のある市区町村の窓口で確認してください。