空き家は買取と仲介どちらがよいか|手取り・期間・手間の比較

公開 2026-10-09約6分比較表つき

家の模型を手に、金庫と札束の前に立つヤモリのキャラクター
目次を開く(6項目)
  1. 5つの判断軸で買取と仲介を比べる
  2. 状況別にどちらを先に検討するか
  3. 税の特例の期限が近いときは買取の提示額も取る
  4. 売れ残る間にかかる費用を計算する
  5. 契約不適合責任は売り先で何が変わるか
  6. 手取りに入れる費用を洗い出す

空き家を早く手放したいなら買取、時間をかけて高く売りたいなら仲介が基本です。迷うときは、5つの軸で見てください。急ぐ理由があるか、建物の状態、手取り、期間、契約不適合責任です。

この記事は、判断の軸を整理します。買取と仲介の手取りを実際の数字で比べる計算は空き家を買取に出す前ににあります。数字を入れる前に、どちらの売り方が自分に合うかをここで絞ります。

5つの判断軸で買取と仲介を比べる

判断軸 買取 仲介
急ぐか 買主が不動産会社なので、買主探しの期間がない 買主が見つかるまで続く。期間は読みにくい
建物の状態 傷みや残置物があっても、現状で提示を受けられる 個人の買主が住む前提で見られる。内覧で印象が分かれる
手取り 仲介手数料はかからない。価格は仲介の成約価格より下がることがある 仲介手数料がかかる。うまく売れれば成約価格は高くなりうる
期間 条件が合えば短い 専任・専属専任の媒介契約は有効期間が3か月以内。更新して続ける
契約不適合責任 民法の原則は仲介と同じ。範囲と期間は契約書の特約で決まる 民法の原則は買取と同じ。範囲と期間は契約書の特約で決まる
売主の手間 個人の買主の内覧に対応する必要がない 内覧の立ち会い、買主との価格交渉がある

どちらの売り方でも、1社だけの査定で決めてはいけません。仲介の査定額と買取の提示額を両方取ってから、手取りで比べます。

状況別にどちらを先に検討するか

あなたの状況 先に検討する方法 理由
税の特例の売却期限が近い 買取の提示額も取る 期限までに売る必要がある
遠方に住んでいて、内覧の立ち会いが難しい 買取の提示額も取る 買主の内覧対応がなくなる
建物の傷みが大きく、残置物が多い 買取の提示額も取る 現状のまま提示を受けられる
半年以上かけて、できるだけ高く売りたい 仲介 買主を探す期間をかけられる
立地が良く、建物の状態も悪くない 仲介 個人の買主に選ばれやすい
買主が付かないまま、固定資産税を払い続けている 買取の提示額も取る 維持費が積み上がる期間を止められる

税の特例の期限が近いときは買取の提示額も取る

相続した空き家には、売ったときの利益から最高3,000万円を引ける特例があります。この特例には売却の期限があります。相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があり、制度自体も2027年12月31日までの売却が対象です。

相続税を払った人が使える取得費加算の特例にも期限があります。相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売ることが条件です。

期限までの日数が少ないときは、買主探しに期間のかかる仲介だけに頼ると、間に合わなくなります。期限を守りたいときは、買取の提示額を同時に取っておけば、仲介が長引いたときの選択肢が残ります。特例の条件は空き家を売ったときの税金で確認できます。

売れ残る間にかかる費用を計算する

仲介は、買主が見つかるまで空き家を持ち続けます。その間の維持費は、売主が払います。次の仮定で、売れ残った期間にかかる費用を計算します。数字は例で、実際の金額は物件ごとに変わります。

  • 固定資産税と都市計画税は、年間12万円
  • 草刈り、通水、現地への交通費などの管理費は、年間6万円
  • 合計で年間18万円、月に換算すると1.5万円
売れるまでの期間 維持費の合計
3か月 4.5万円
6か月 9万円
12か月 18万円

この維持費は、仲介のほうが高く売れたときの差額から引いて考えます。たとえば仲介の手取りが買取より20万円多くても、売れるまでに12か月かかれば、維持費18万円を引いた差は2万円です。仲介が長引くほど、買取との差は縮まります。

さらに、管理が行き届かずに市区町村から勧告を受けると、固定資産税の負担が増える場合があります。管理不全空家や特定空家の勧告を受けた敷地は、住宅用地特例の対象から外れるためです。放置の影響は空き家を放置するとどうなるかで読めます。

契約不適合責任は売り先で何が変わるか

売った家が契約の内容に合っていなかったとき、買主は修補などの追完や、代金の減額を求められます。損害賠償や解除を求められる場合もあります。法務省の資料では、買主は不適合を知ってから1年以内に、売主へ通知する必要があります。

あなたが個人の売主なら、この責任の範囲と期間は、契約書の特約で変えられます。免責や期間の短縮も、原則として有効です。宅建業者が売主のときに特約を制限する宅建業法40条は、あなたの売却には適用されません。買主が個人でも不動産会社でも、この点は変わりません。

確認すること 内容
法律上の原則 買主は、不適合を知ってから1年以内に売主へ通知すれば、追完や代金減額などを求められる
特約で変えられる範囲 個人の売主なら、責任の期間を短くすることも、免責にすることも原則として有効
特約でも免れないもの 売主が知っていたのに買主に告げなかった事実
契約書で読む条項 責任を負う期間、免責の有無、告知書の記載

雨漏りやシロアリ、境界のトラブルなど、知っていることは告知書に書きます。仲介でも買取でも、署名の前に契約書の契約不適合の条項を読み、責任を負う期間と免責の有無を見てください。

手取りに入れる費用を洗い出す

手取りは、売却価格だけでは決まりません。次の費用を、売り方ごとに洗い出します。

  • 仲介手数料(仲介のみ)。上限は国土交通省の告示で決まっています
  • 残置物の処分費用
  • 測量や境界確認の費用
  • 解体費用(更地にして売る場合)
  • 譲渡所得の税金。特例が使えるかで大きく変わります
  • 売れ残る間の維持費(仲介のみ)

仲介手数料の上限は、代金のうち200万円以下の部分が5%、200万円超400万円以下が4%、400万円超が3%です。代金が800万円以下の空き家には、33万円までの特例があります。

参考にした資料

最終確認日:2026年10月9日。制度や公表内容は変わる場合があります。契約と税金の最終判断は、契約書と公的窓口で確認し、専門家にも相談してください。