空き家を解体する流れ|更地にすると固定資産税はどうなる

公開 2026-10-09約8分比較表つき

ヘルメットをかぶり、更地になった土地を指さすヤモリのキャラクター
目次を開く(6項目)
  1. 解体の流れを時系列で見る
  2. 届出と報告は誰が出すのか
  3. 更地にすると固定資産税はどう変わるか
  4. 解体する時期で、いつから税が変わるか
  5. 税の負担を軽くする自治体の制度
  6. 解体したあとの土地をどうするか

空き家の解体は、見積もりと契約を済ませ、届出を出してから工事に入ります。完了後1か月以内に、建物滅失登記を申請します。工事が終わったあとも、手続きと税の変化が残ります。

更地にすると、固定資産税の住宅用地特例が外れます。この記事の計算例では、年間の税額が約24.6万円増えました。税額は、毎年1月1日の土地の状態で決まります。解体を終える時期を決める前に、この記事の時期別の表を見てください。

解体の流れを時系列で見る

全体の順番は、次の表のとおりです。

順番 時期 やること 動く人 期限や根拠
1 解体を決める前 売却の査定と、解体した場合の手取りを並べる。補助金の窓口に問い合わせる 所有者 補助金は、契約や着工の前の申請が条件の市がある
2 見積もり 2社以上から見積書を取り、内訳を比べる 所有者 見積書の見方
3 契約の前 許可か登録の番号、支払い時期、追加費用の条件を確認する 所有者 全額前払いは避ける
4 契約後から着手前 解体工事の届出を出す。石綿の事前調査をして、結果を報告する 届出は発注者。報告は元請業者 建設リサイクル法の届出は、着手の7日前まで
5 工事中 建物を分別して壊し、廃棄物を運んで処分する 解体業者 元請業者が廃棄物の排出事業者
6 工事の完了 更地の状態を確認し、廃棄物の処理の記録(マニフェスト)の扱いを業者に聞く 所有者と業者
7 完了後1か月以内 建物滅失登記を申請する 所有者(登記名義人) 不動産登記法第57条。建物がなくなった日から1か月以内
8 解体後の最初の1月1日 更地として固定資産税の課税が始まる 市町村が課税 毎年1月1日の状態で税額が決まる

名義が亡くなった親のままの空き家は、解体の前に相続人で方針を決めます。相続登記は2024年4月1日から義務で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になりえます。名義が亡くなった人のままで滅失登記を申請する場合は、進め方を法務局に聞いてください。

届出と報告は誰が出すのか

解体では、手続きが3つあります。出す人が違うので、契約の前に業者と分担を確認します。

手続き 出す人 いつまでに 対象
建設リサイクル法の届出 発注者(所有者)。業者が代行する場合もある 工事着手の7日前まで 建築物の解体で、床面積の合計が80㎡以上
石綿の事前調査結果の報告 元請業者 工事の前。電子システムで労働基準監督署と自治体へ 解体部分の床面積の合計が80㎡以上
建物滅失登記 表題部所有者か、所有権の登記名義人 建物がなくなった日から1か月以内 登記されている建物

石綿の事前調査そのものは、80㎡未満の解体でも必要です。厚生労働省の案内では、規模にかかわらず、解体する部分のすべての材料について調べます。報告の義務があるのが80㎡以上というだけです。

更地にすると固定資産税はどう変わるか

住宅が建っている土地の固定資産税は、住宅用地の特例で軽くなっています。200㎡以下の部分は課税標準が価格の6分の1です。200㎡を超える部分は3分の1です。都市計画税は、それぞれ3分の1と3分の2になります。

建物を解体して更地になると、この特例は使えません。次の仮定で、年間の税額を計算します。

  • 土地の固定資産税評価額:1,800万円
  • 土地の面積:150㎡(小規模住宅用地の範囲)
  • 固定資産税の税率:標準税率の1.4%
  • 都市計画税の税率:制限税率の0.3%(市街化区域内の土地とする)
  • 負担調整措置と、市町村ごとの税率の違いは考えない
  • 家屋にかかる税は含めない
建物あり(特例あり) 更地(特例なし)
固定資産税 1,800万円×1/6×1.4%=約4.2万円 1,800万円×1.4%=約25.2万円
都市計画税 1,800万円×1/3×0.3%=約1.8万円 1,800万円×0.3%=約5.4万円
土地の年間合計 約6.0万円 約30.6万円

この仮定では、土地の税額が年間で約24.6万円増えます。一方で、建物にかかっていた家屋の固定資産税は、解体するとなくなります。家屋の税額は、納税通知書の課税明細で確認してください。

解体する時期で、いつから税が変わるか

固定資産税は、毎年1月1日の状態で税額が決まります。2026年10月の時点なら、年内に解体を終えるかどうかで、特例が外れる年が1年変わります。

解体が終わる日 2027年1月1日の土地 住宅用地の特例が外れる年
2026年12月31日まで 更地 2027年の税額から
2027年1月2日以降 建物が残っている 2028年の税額から(原則)
工事が2027年1月1日をまたぐ 一部が壊れた状態 工事の途中の扱いを税務課に聞く

先の例の仮定で、特例が外れる年が1年遅れると、土地の税額は約24.6万円少なくなります。

ただし、1月1日まで壊さなければ特例が続くとは限りません。国土交通省の資料は、住宅用地特例の対象となる「住宅」に当たらない場合として、次の3つを示しています。

  • 構造上、住宅と認められない状態にある
  • 使用の見込みがなく、取り壊しを予定している
  • 居住に使うための管理を怠っていて、今後人が住む見込みがないと認められる

また、管理不全空家や特定空家として勧告を受けると、建物があっても特例が外れます。放置した場合の流れは 空き家を放置するとどうなる にまとめています。

時期の判断は、市町村の税務課に聞いてください。「解体を予定している建物の、来年1月1日の扱い」と伝えると話が進みます。

税の負担を軽くする自治体の制度

解体後の固定資産税や都市計画税を軽くする制度を、独自に設ける自治体があります。国土交通省の調査資料(2022年11月時点)では、適用期間は除却後3年以内が約6割でした。税の滞納がないことや、除却後に土地の所有者が変わっていないことが要件の例です。

自分の自治体にあるかは、補助金の窓口で一緒に聞けます。窓口の探し方は 空き家解体の補助金 にあります。

解体したあとの土地をどうするか

更地にしたあとの使い道は、売るか持ち続けるか貸すかの3つです。持ち続けると、毎年の固定資産税に加えて、草が伸びるなどの管理の手間が続きます。売る場合は、売却の方法ごとの手取りを 空き家の売却方法4つ で比べてください。

売るつもりで解体するなら、解体の前に査定を取るほうが安全です。更地にしてから売れなかったときは、特例なしの税額を払い続けることになります。判断の順番は 空き家は解体してから売るべきか に整理しています。

参考にした資料

不安があるときは、市町村の税務課や、空き家の相談窓口に問い合わせできます。

最終確認日:2026年10月9日。制度や公表内容は変わる場合があります。税や登記の判断は、市町村の窓口と法務局で確認してください。