空き家を解体する流れ|更地にすると固定資産税はどうなる

目次を開く(6項目)
空き家の解体は、見積もりと契約を済ませ、届出を出してから工事に入ります。完了後1か月以内に、建物滅失登記を申請します。工事が終わったあとも、手続きと税の変化が残ります。
更地にすると、固定資産税の住宅用地特例が外れます。この記事の計算例では、年間の税額が約24.6万円増えました。税額は、毎年1月1日の土地の状態で決まります。解体を終える時期を決める前に、この記事の時期別の表を見てください。
解体の流れを時系列で見る
全体の順番は、次の表のとおりです。
| 順番 | 時期 | やること | 動く人 | 期限や根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 解体を決める前 | 売却の査定と、解体した場合の手取りを並べる。補助金の窓口に問い合わせる | 所有者 | 補助金は、契約や着工の前の申請が条件の市がある |
| 2 | 見積もり | 2社以上から見積書を取り、内訳を比べる | 所有者 | 見積書の見方 |
| 3 | 契約の前 | 許可か登録の番号、支払い時期、追加費用の条件を確認する | 所有者 | 全額前払いは避ける |
| 4 | 契約後から着手前 | 解体工事の届出を出す。石綿の事前調査をして、結果を報告する | 届出は発注者。報告は元請業者 | 建設リサイクル法の届出は、着手の7日前まで |
| 5 | 工事中 | 建物を分別して壊し、廃棄物を運んで処分する | 解体業者 | 元請業者が廃棄物の排出事業者 |
| 6 | 工事の完了 | 更地の状態を確認し、廃棄物の処理の記録(マニフェスト)の扱いを業者に聞く | 所有者と業者 | |
| 7 | 完了後1か月以内 | 建物滅失登記を申請する | 所有者(登記名義人) | 不動産登記法第57条。建物がなくなった日から1か月以内 |
| 8 | 解体後の最初の1月1日 | 更地として固定資産税の課税が始まる | 市町村が課税 | 毎年1月1日の状態で税額が決まる |
名義が亡くなった親のままの空き家は、解体の前に相続人で方針を決めます。相続登記は2024年4月1日から義務で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になりえます。名義が亡くなった人のままで滅失登記を申請する場合は、進め方を法務局に聞いてください。
届出と報告は誰が出すのか
解体では、手続きが3つあります。出す人が違うので、契約の前に業者と分担を確認します。
| 手続き | 出す人 | いつまでに | 対象 |
|---|---|---|---|
| 建設リサイクル法の届出 | 発注者(所有者)。業者が代行する場合もある | 工事着手の7日前まで | 建築物の解体で、床面積の合計が80㎡以上 |
| 石綿の事前調査結果の報告 | 元請業者 | 工事の前。電子システムで労働基準監督署と自治体へ | 解体部分の床面積の合計が80㎡以上 |
| 建物滅失登記 | 表題部所有者か、所有権の登記名義人 | 建物がなくなった日から1か月以内 | 登記されている建物 |
石綿の事前調査そのものは、80㎡未満の解体でも必要です。厚生労働省の案内では、規模にかかわらず、解体する部分のすべての材料について調べます。報告の義務があるのが80㎡以上というだけです。
更地にすると固定資産税はどう変わるか
住宅が建っている土地の固定資産税は、住宅用地の特例で軽くなっています。200㎡以下の部分は課税標準が価格の6分の1です。200㎡を超える部分は3分の1です。都市計画税は、それぞれ3分の1と3分の2になります。
建物を解体して更地になると、この特例は使えません。次の仮定で、年間の税額を計算します。
- 土地の固定資産税評価額:1,800万円
- 土地の面積:150㎡(小規模住宅用地の範囲)
- 固定資産税の税率:標準税率の1.4%
- 都市計画税の税率:制限税率の0.3%(市街化区域内の土地とする)
- 負担調整措置と、市町村ごとの税率の違いは考えない
- 家屋にかかる税は含めない
| 建物あり(特例あり) | 更地(特例なし) | |
|---|---|---|
| 固定資産税 | 1,800万円×1/6×1.4%=約4.2万円 | 1,800万円×1.4%=約25.2万円 |
| 都市計画税 | 1,800万円×1/3×0.3%=約1.8万円 | 1,800万円×0.3%=約5.4万円 |
| 土地の年間合計 | 約6.0万円 | 約30.6万円 |
この仮定では、土地の税額が年間で約24.6万円増えます。一方で、建物にかかっていた家屋の固定資産税は、解体するとなくなります。家屋の税額は、納税通知書の課税明細で確認してください。
解体する時期で、いつから税が変わるか
固定資産税は、毎年1月1日の状態で税額が決まります。2026年10月の時点なら、年内に解体を終えるかどうかで、特例が外れる年が1年変わります。
| 解体が終わる日 | 2027年1月1日の土地 | 住宅用地の特例が外れる年 |
|---|---|---|
| 2026年12月31日まで | 更地 | 2027年の税額から |
| 2027年1月2日以降 | 建物が残っている | 2028年の税額から(原則) |
| 工事が2027年1月1日をまたぐ | 一部が壊れた状態 | 工事の途中の扱いを税務課に聞く |
先の例の仮定で、特例が外れる年が1年遅れると、土地の税額は約24.6万円少なくなります。
ただし、1月1日まで壊さなければ特例が続くとは限りません。国土交通省の資料は、住宅用地特例の対象となる「住宅」に当たらない場合として、次の3つを示しています。
- 構造上、住宅と認められない状態にある
- 使用の見込みがなく、取り壊しを予定している
- 居住に使うための管理を怠っていて、今後人が住む見込みがないと認められる
また、管理不全空家や特定空家として勧告を受けると、建物があっても特例が外れます。放置した場合の流れは 空き家を放置するとどうなる にまとめています。
時期の判断は、市町村の税務課に聞いてください。「解体を予定している建物の、来年1月1日の扱い」と伝えると話が進みます。
税の負担を軽くする自治体の制度
解体後の固定資産税や都市計画税を軽くする制度を、独自に設ける自治体があります。国土交通省の調査資料(2022年11月時点)では、適用期間は除却後3年以内が約6割でした。税の滞納がないことや、除却後に土地の所有者が変わっていないことが要件の例です。
自分の自治体にあるかは、補助金の窓口で一緒に聞けます。窓口の探し方は 空き家解体の補助金 にあります。
解体したあとの土地をどうするか
更地にしたあとの使い道は、売るか持ち続けるか貸すかの3つです。持ち続けると、毎年の固定資産税に加えて、草が伸びるなどの管理の手間が続きます。売る場合は、売却の方法ごとの手取りを 空き家の売却方法4つ で比べてください。
売るつもりで解体するなら、解体の前に査定を取るほうが安全です。更地にしてから売れなかったときは、特例なしの税額を払い続けることになります。判断の順番は 空き家は解体してから売るべきか に整理しています。
参考にした資料
- 総務省「固定資産税」の制度案内(賦課期日は1月1日、標準税率1.4%、住宅用地の特例)
- 国土交通省「土地の保有に係る税制」(固定資産税・都市計画税の税率、住宅用地の特例)
- 国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」(特例の対象となる住宅、勧告との関係)
- 国土交通省「地域の実情に応じた、一定の空き家を除却した場合の固定資産税等に係る負担軽減措置について」(令和5年12月)
- 中央区「建設リサイクル法の届出」案内(解体は床面積80㎡以上、着手の7日前まで)
- 厚生労働省「石綿の事前調査結果の報告制度」、同「石綿総合情報ポータルサイト 解体業者向けの案内」
- 法務省 静岡地方法務局「建物の滅失の登記」案内(不動産登記法第57条)
- 青森県「建設系廃棄物の適正処理のための手引き」(排出事業者、マニフェスト)
- 法務省「相続登記義務化」周知フライヤー(2024年4月1日開始)
不安があるときは、市町村の税務課や、空き家の相談窓口に問い合わせできます。
最終確認日:2026年10月9日。制度や公表内容は変わる場合があります。税や登記の判断は、市町村の窓口と法務局で確認してください。